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​コロナ禍の夏休み 学生の旅行意識インタビュー その2

取材日2020年12月28日 取材者:三好

Bさん

出身地:岐阜県

大学・学部:立教大学観光学部

学年:3年生

まず、夏の旅行について伺いました。

Q 旅行をすることになった一番のきっかけは何ですか。

A コロナウイルスが流行してから、最初に行った観光地が「伊香保」でした。きっかけは一緒に行く人との話の中で、旅行をしたいという気持ちが芽生えたからです。

 

Q 一番最初に行った観光地が「伊香保」とのことですが、なぜ伊香保を選んだのですか。

A 元々、温泉街に行きたかったのですが、箱根や草津などは、テレビなどで「混んでいる観光地」として紹介されていたので避けようと思いました。そんな中で伊香保は空いていると友人から勧められたため、伊香保を選びました。大学生の間で伊香保は流行っていると思います。

 

Q 旅行先の地域を選ぶ際、感染対策のために、空いている場所を選ぼうと意識したのですね。交通手段や、宿泊施設については、なにか意識しましたか。

 交通手段については、安さ重視で、普通の特急電車で行ったので、特別コロナ禍だから変えたということはないですね。行く前から、交通手段を特に変えなくても、観光客が少ないため、車内は空いていると思っていましたし、実際、空いていました。

宿泊施設に関しても、どの旅館を選んだとしても、コロナ対策はしていると思ったので、宿泊施設選びの段階で、「コロナ対策をしている」と宣伝しているホテルに絞ることはしませんでした。また、どこの宿泊施設がコロナ対策をしているか、事前の情報収集が難しかったと感じました。

 

Q 事前の情報収集に難しさがあったということですね。旅行先のコロナウイルスに関する情報は、旅行前に調べましたか。

A 特別意識しなくても、普段、コロナウイルスに関係する情報が、ニュースで流れてくることが多かったので、旅行先の感染状況は、ある程度把握していました。旅行先と居住地が同じ関東圏ということもあり、感染状況は居住地と同じくらいだと思ったため、旅行に行くからあえて調べることはありませんでした。また、旅行先である「群馬県」や「渋川市」が出している割引制度の情報は調べませんでした。Gotoキャンペーンを利用したかったので、それによる割引があるかどうかくらいしか、旅行前には調べていません。

 

Q Gotoキャンペーンを利用されたのですね。Gotoキャンペーンは、やはり旅行意欲に結びつきましたか。

A Gotoキャンペーンが直接旅行意欲に結びついたわけではなかったです。それでも旅行中の消費額は上がったように思います。Gotoキャンペーンがあることで、普段よりも「安く旅行をしている」という気持ちがあり、浮いたお金で何かしたいという気持ちになりました。その結果、Gotoキャンペーンを利用していない時より、お金を使っているかもしれませんね(笑)

 

Q Gotoキャンペーンを利用したことで何か普段の旅行と違いはありましたか?

A いつもは一泊2000円位のビジネスホテルなどに泊まってたけれど、Gotoキャンペーンをきっかけに、普段よりランクの高い旅館に泊まることになりました。そのような旅館に泊まりたいと思った理由は、旅行中に宿泊施設の中も楽しみたいと思ったからです。金額としては、宿代+交通機関セットで一万円位支払いました。この金額は、普段の旅行よりも高く払っています。いつもより高額を支払った理由は、伊香保はもともと高めの旅館(老舗旅館)が多く、平均的にどこも高かったという理由もありますが、自粛中に中々お金を使う機会がなかったため、旅行で使おうと思ったからという理由もあります。宿泊施設だけではなく、食事の質もあがりました。

 

Q 「旅行中に宿泊施設の中も楽しみたい」と思ったのはなぜですか。

A 「コロナ禍だから」という理由が一番大きかったです。旅行中もあまり外に出歩けないと思いました。また、自粛中になかなか人と会えなかったため、同行者の人との時間をゆっくり作りたいと思い、宿泊施設で過ごす時間も大切にしようと思いました。

 

Q Gotoキャンペーンを利用したことで、宿泊施設に対して何か気持ちの変化はありましたか。

A 今後も宿泊施設にお金をかけてみたいという気持ちになりました。いままで安いぼろ宿や、ビジネスホテルばかり泊まっていて、「宿=ただ寝る場所」という認識でいました。しかし、Gotoキャンペーンをきっかけに、いい宿に泊まってみて、初めて宿でゆっくりする旅行の良さや、宿の楽しみ方を知ったからです。

 

Q 実際の旅行先での行動について詳しくお聞きしたいです。事前アンケートでは、「地域の人からウェルカムな雰囲気を作ってもらったことが嬉しかった」と回答されていますが、具体的にはどのような雰囲気を作っていただいたのですか?

A コロナウイルスの影響で、伊香保はとても空いていて、そんな中、THE観光客な自分たちが街を歩くことに対して浮いてしまっているのではないかと不安に感じていました。ですが、旅館に着いたときに、いい笑顔・接客で対応してくださったのでとても印象に残っています。旅館の方々は、「コロナでお客さんが減ってすごく大変なんですよ〜」と、観光客に対して感謝の気持ちが前面に現れていたため、とても嬉しい気持ちになりました。

 また、宴会場でご飯を食べてるときに、宿で一番の女将さんが、1組ずつに挨拶周りしてくださいました。そのときに、「こんなご時世なのに、来てくださってありがとうございます!」と、サービスでデザートを付けてくれたり、マスクケースを下さったりしました!

 空いてたからという理由もあると思いますが、1組1組に対するおもてなしがひしひしと感じられて、コロナの中で観光客として行くのがちょっと不安だった私としては、とても嬉しかったです!

 

Q 素敵な対応の旅館に宿泊されたのですね。伊香保の街並みは空いていたとのことですが、具体的にはどんな感じでしたか。

A 私達は、渋川駅からバスの周遊切符を購入し、主に中心市街地の観光をしました。石段街の中にある宿泊施設に泊まり、周辺は徒歩で観光しました。石段街は3人ほどしか人を見かけず、バスの中もそれほど混んでいませんでした。お盆明けすぐの平日だったこともあり、本当に観光客が少なく、「臨時休業中」の張り紙をしているお店、閉店しているお店も多かったです。特にInstagramやブログにのっているような有名なお店も、閉まっていました。

 

Q 事前アンケートより、千葉にも旅行されたとのことですが、どのようなことをされたのですか?

A グランピングに行きました。コロナウイルスによって自然を体験する旅行の宣伝が多かったため、興味をもちました。

自分が、同行者を誘う側だったのですが、旅行に行こうと誘うよりも、居住地から近場の千葉県でグランピングをしようと誘うほうが誘いやすいと感じました。グランピングを運営している方の話によると、緊急事態宣言が開けてから、多くの家族連れがGotoキャンペーンを利用して、グランピング施設に訪れているそうです。

 

Q 今夏、オンラインツアーにも参加されたとのことですが、どのような感想を持ちましたか。

A グーグルストリートビューと、グーグルマップを使ったツアーに参加しました。その土地のことを良く知っている人が、歴史や知る人ぞ知るお店を解説してくれました。オンラインツアーは旅行の代わりにはならず、ガイドブックのような情報収集のためのツールだという印象を持ちました。その場所に旅行をしたいという気持ちになりました。

コロナ禍での観光地の様子がとてもよく伝わってきました。とても素敵な旅館での出来事に心が温まりました。しかしコロナウイルスの影響によって、閉店しているお店や、休業中のお店が増えていることは、問題だと感じます。観光客が戻ってきたときに、また賑わいのある街並みに戻ることを望んでいます。

次に、私達のゼミではwithコロナの新しい観光のあり方として、出ができないからこそ、自身の居住地周辺の魅力に気づき楽しむ「地元観光」という考え方を提案してきました。ここからの質問では、Bさんの地元についてのお話を聞きました。Bさんは今夏、「地元観光」をしてみたそうです。

Q 「地元観光」を行った際、具体的にどのような行動をしましたか。

A 実家がある岐阜県と、一人暮らしをしている埼玉県、どちらでも地元観光をしてみました。

岐阜県の方は、基本的に車移動で、家から30分程度の場所へ行きました。地元観光をしてみようと思ったきっかけは、今まで地元をゆっくりと観光する時間はとれていなかったけれど、自粛によって時間ができたからです。その場所では、自分が知らなかった美味しいお店を探して行ったり、ロープウェイに乗ったりしました。今までは、ショッピングモールなどに行くことが多かったけれど、感染予防のため行くことが出来ず、山登りもしてみました。

車以外にもサイクリングをしながら新しいお店を開拓してみたりもしました。

埼玉県では、徒歩圏内で家の周りにある、パン屋さんやカフェなどの、小さいお店や個人経営のお店を探しました。とにかくよく散歩をしていました。

 

Q 「地元観光」という言葉にどのようなイメージをもちますか。

A これが観光なのかは分かりませんが、自分の住んでいる周辺の、新しいお店を発見したり、近所の人を知った利することだと思います。実際に、地元観光をしてみて、面白かったことは、交通指導をされている高齢者の方と仲良くなったり、保育園の前を通りかかった時に子どもが手を振ってくれたりしたことです。そのような小さな楽しみを見つけるのも「地元観光」なのではないかと思います。

Bさんの地元観光の経験は、日常生活圏の中で、新しい発見があったり、人との交流があったりと、まさに私達が理想とする地元観光を実践していると感じました。

最後に、秋冬の旅行について、また感染状況を踏まえた今後の旅行意欲について聞きました!

Q この秋・冬に旅行をしましたか?Gotoキャンペーンは利用しましたか?

A 11月の前半に京都へ行きました。京都に一泊した際にGotoキャンペーンを利用しました。

 

Q 今後予定している旅行はありますか?

A 今は旅行意欲があまりありません。少なくとも、12月、1月は旅行に行かないと思います。2,3月には、状況にもよりますが、旅行に行きたいと思っています。

Q 今旅行意欲がない理由はなぜですか。

A 東京の感染者数がとても増えている中で、感染リスクに対する不安があります。また、旅行に行った際、観光地で、都内から来た人だと思われるのが嫌という気持ちもあります。家でゆっくりしようと思います。実家に帰省する時でさえ、二週間の自粛をしてから帰省しているので、この状況で旅行は厳しいと考えています。

Q この秋・冬にキャンセルをした旅行はありますか?

A 11月あたりに、クリスマスにディズニーへ行こうと思っていたけれど、感染者数が増えたため辞めました。また、スキーに行く予定も立てていましたが、こちらも予約をする前の段階で、感染状況を見てやめることにしました。

Bさんは、今夏に通常「観光地」と呼ばれる場所に行く観光だけでなく、自然体験をする観光、地元観光、オンライン観光と様々な観光形態を経験していることが印象的でした。コロナウイルスによって、新しい生活様式に即した、新たな観光形態がたくさん生まれたので、自分にあった観光形態をそれぞれが見つけられたらいいと思いました。ご協力ありがとうございました!(みよし)

​その他のインタビューはこちらから

①Aさん​(大学1年生)​    ③Cさん(大学2年生)   ​④Dさん(大学3年生)

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