ぶらって川越の完成

ゼミの第1期生が2020年4月から取り組んできた「ぶらって川越」のマップが2021年9月に完成し、2022年1月に川越市役所にて贈呈式、その後、武蔵野銀行や川越市内の観光案内所などで配布が開始されました。


第1期生にとって、川越は最初の街歩きの場所であり、西川にとっても最初のゼミ生と初めて実施した街歩きでした。その日のことは今でもよく覚えています。せっかくの街歩きなのだから、誰か地元の方と交流できる機会を作りたいと考えたものの、準備不足で、市のボランティアガイドさんの申し込み期日はもう過ぎてしまっており、断られてしまう始末。それでも誰かガイドいただける方はいないかと、インターネット上で色々と調べて行き着いたのが、「ちょっとディープな観光案内~小江戸川越のらり蔵り~」を主宰されている市川さんでした。

Facebook上ですぐに連絡を取り、翌日の街歩きのガイド依頼という急なお願いにも快諾いただき(もっと早く準備しましょう)、無事、最初の川越街歩きが執り行われたのでした。市川さんとの出会いは、私にとってもゼミに入ってまもない当時2年生の1期生にとっても相当衝撃的だったことでしょう。川越という自分の住む街をここまで愛し、誇りに思い、歴史を熱く語ってくれるその姿に、私たちは引き込まれていきました。


街歩きでは、伝建地区の一番街のメインストリートを何度も往復し、どれが歴史的建造物なのかを考えるというゲーム(課題)も行いました。これもまたゼミ生には衝撃的な街歩きだったようで、今でも「何度も一番街を往復する街歩き」と語られています。

この作業は、一見当たり前のように存在する観光資源・地域資源にも、必ず人の意図が加わっている、地域住民の方々の努力があるんだ、ということを伝えるもので、一見歴史的建造物に見える新築の建造物を見ながら議論をしたものです。


こうしてゼミがスタートした2年生の4月に内容の濃い街歩きを経験。ゼミの時間に行ってきた文献精読で培った知識と川越の経験を重ね合わせながら、観光の学びを深めていったのでした。観光協会の方へのヒアリングや、川越まつりへの参加、全国町並みゼミへの参加など、2年次だけでも5〜6回は訪問した川越でした。


3年次の2021年4月から、ぶらって川越のマップ制作に取り掛かりました。と言っても、いきなりマップの議論に入ることはありませんでした。私が口を酸っぱく伝えていたのは、「自己満足のマップにするな」。マップを目的とするのではなく、まちづくりや観光の課題を解決する手段にせよ、ということでした。なので、まずは観光の現状を正しく理解するところからです。ちょうどコロナの流行が始まり、最初の緊急事態宣言が発出された時期で、苦しい時期でしたが、そんな中、ゼミでは地域住民(商店街)の方への郵送アンケート調査とオンライン観光客調査を実施しています。

オンラインの制約の中、議論ではzoom、miro、google document、・・・色々なツールを使いました。


夏休み中は、全国観光まちづくりコンテストに、川越を対象にした提案を提出しています。その名も「チャリベルゴ・ディフーゾ」。自転車で川越市内に広域に広がる魅力を巡ってもらおうという提案です。全国から240弱の応募があった中、トップ20枠に入賞するという快挙で幕を閉じました。


緊急事態宣言も解け、大学も対面での講義が実施できるようになった2020年秋。いよいよマップ作成のための議論に入ります。毎週、コンセプトやターゲット、取り上げたい資源など、とにかく何度もの議論が続きました。私からゼミ生にはあまり口出しをせず、マップを完成させるための時間管理、進捗管理もゼミ生に委ねました。マップ作成の方法に決まりがあるわけではありません。皆、暗中模索の状態が続き、時には少しゼミ内の空気が悪くなることも。


2020年11月には社会実験と中間報告会を実施しています。これは、マップは一度印刷されてしまうと修正できないので、その前段階でマップの方向性を見極めるために、観光客の意見を聞こうという目的から。コロナの影響もあり、ゼミ生の友人を川越に招待するという形にはなりました。この社会実験から関係者への中間報告会に至る1〜2週間の怒涛の準備と、その時のゼミ生のチームワークには驚かされました。それぞれが果たすべき役割をしっかりと理解し、チーム力で乗り越えた短期決戦でした。


社会実験と中間報告会で得た自信を手に、マップの作成議論はより深化していく・・・ところでしたが、ここでゼミという授業は終了になってしまいます。そして、3年生2月といえば、待ち受けているのは就活。ここでマップ作成は一時休止状態へと入ります。


作業が再開したのは6月頃でした。各々、順調に就活を終え、むしろ内定をたくさん取って自信を付けた学生たち。卒論にも取り組みながら、いよいよマップの各ページの総仕上げへと入っていきました。


2021年8月には入稿、9月にマップ完成という運びとなりました。



マップにはまだまだ至らぬ点もあるかもしれませんし、もっと深く歴史を紹介して欲しい、といった声もあるかもしれません。しかし、このマップは、観光という人間の営みについて4年間専門的・学問的に学んできたからこそ、そして川越に何度も足繁く通って色々な方にお話を聞く機会をいただけたからこそ、到達できた観光の見方が盛り込まれています。そういう意味で、この「ぶらって川越」はゼミの1期生にとっての卒業研究作品、とも言えるでしょう。


本日、2022年2月9日にはテレビ埼玉でこれまでのマップ作成の経緯を取りまとめた内容を放送いただきました。

以下よりご覧ください。