Nishikawa Lab., College of Tourism, Rikkyo University
Community Based Tourism, Tourism Policy, and Urban Planning
2021年西川ゼミ希望者向けのページ
西川ゼミに少しでも関心を持っていただきありがとうございます。このページでは、西川ゼミが目指そうとしていることやゼミのスタンス、進め方など説明し、皆さんが適切なゼミ選びができるようにするための情報を取りまとめています。
現行のゼミの活動については、こちらに詳しく記しています。
こんなゼミを作っていきたい
私のゼミでは、互いに切磋琢磨し、観光について本気で考えられる仲間となれるような関係を築いていきたいと考えています。常に向上心を持ち続け、何事にも果敢にチャレンジできるような環境をゼミ生同士ではぐくむことができれば、それは大きな力となるでしょう。
学生の本気に対しては、私は一切の妥協をせずに本気で立ち向かいます。
自分自身、大学・大学院の学生の頃、指導教員と友人に恵まれました。そうやって受けてきた大学教育の経験と感謝の気持ちを、今度は大学教員となった私が、皆さんのような次の世代へと引き継いでいきたいと考えているからです。
そして、少しでも学問に触れることの楽しみ、観光を学び考えることの楽しみを感じてもらえるのであれば、そのための努力は惜しみません。
さらに、将来、観光やあるいはその他の分野で、ゼミの卒業生が活躍していくようになれば、私としてこれほど嬉しいことはありません。
ゼミ一般に対する西川の考え
■ゼミの位置付けや意義
1. 専門課程として観光に関する専門力を学術的に身につける
【学問的に深めるための2つの作業】
社会学者の上野千鶴子は、2019年の東大の入学式で次のようなことを話しています。
「大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています」
学問的に深めていくためには、次の2つの作業が必要です。
1)これまでの知の蓄積を学ぶ「勉強」「学習」的プロセス
2)新たな知を創造する「調査」「研究」的プロセス
学問の目的は、2)です。しかし、これまでの知の蓄積がどの程度かを理解しておかなければ、何が新たな知で、何が新たな知ではないか、を判断できません。そのため、1)の勉強や学習が重要になります。
【学術的とは何か】
簡潔に言うと、「客観的根拠」を自らの調査を通じて示すことです。例えば…
「これまで、観光地づくりには観光事業者ばかりが関わっており、住民や行政が関わっていなかったため、これからは住民や行政も関わるべきである」という文章は学術的か?
なお、世の中の事柄の多くは学術的ではありません。だから学術的な考察は不要だということではなく、むしろ逆に大学生活中しか学術的な訓練をすることができないという意味で貴重なのです。
2. 大学という場から見た重要性
【大学4年間の意味・重み】
大学は、高校までの教育と社会人との間を繋ぐ大切な4年間です。高校までの教育は、「答えのある問いに対して、その解を正しく導く力を育てる」ことにありました。大学を卒業したら皆さんは社会に出ることになります。社会は、答えのない問いで満ち溢れています。色々な制約条件を踏まえてその時の最も適切な解、つまり最適解を導くことが求められます。大学の4年間は、社会で生きていくために必要な力を身につけるための時間と言えます。ゼミという機会は、この社会で生きていくために必要な力を身につけるための場とも言えます。
本ゼミの専門領域
■観光を捉えるこのゼミの眼差し
端的に言えば、観光を成立させているその土地の歴史・文化・生業などの地域のベースとそれらを守るための行政や住民の様々な取り組みをしっかりと掴むことを大事にしたい。それらの土台がしっかりとしなければ、観光地としての持続的な発展には繋がらない。ゆるキャラ、インスタグラム、SNS…等による観光PRが賑わいを見せて久しく、一時的にはそれによって観光客数増加に繋がるだろうが、小手先の方法ではない観光のあり方を考えることが重要だ。本質的な観光を提供すること、というのを皆で学びたい。
■観光地という地域を対象にするとは
私たちはこのゼミで、観光地(あるいは観光地になっていきたいと考えている地域)という地域を対象に色々な調査や議論をします。街や地域を対象に調査するからには、より良い地域へと変えていく、地域問題を解決していく、といったスタンスを持たなければ、その地域にとって失礼です。街や地域は調査のための実験台ではないのです。むしろ、「調査」という言葉自体が地域に住む方にとって失礼なこともあります。「あなたを調査します」と言われて嬉しいですか?調査ではなく、「地域のことを勉強しています」や「地域のことを教えさせてもらっています」というスタンスを皆さんには持ってもらいたいです。この見方は、ゼミを通して常に意識してください。文献精読にあたっても、フィールドワークにあたっても、常により良い地域を目指すために読んでいる・調べているということを忘れないように。純粋に知りたいことを知るのではなく、地域のためになることを考える上で知るべきことを知るのです。(※ただし、考え方は教員それぞれによって異なる)
2021年度ゼミについて
■新型コロナと観光
新型コロナの流行に伴い、観光をめぐる状況は一変しました。観光需要側の意識も観光地側の意識も、これまでの理論は通用しません。前代未聞の危機を経験した我々は、観光に対する価値観で何が変わるのか、変わらないのか、何を変えるべきなのか、変えないべきなのか、という視点を持ってこれからの観光を考えなければなりません。
ゼミでは、観光客としての視点と観光地としての視点の双方から、新型コロナを経たこれからの観光のあり方を模索していきたいと考えています。そして、観光だけを見るのではなく、地域における観光の位置づけを考えるように視野を広げていきたいと思います。具体的には、地域を持続的に維持させるためにあるべき観光の姿とは何か?を考えます。
■具体的に考えたいこと
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新型コロナ流行後、観光客はどのような思考を持つようになったのだろう。
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新型コロナ流行によって生まれた新たなサービスとは何だろうか。
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実際の現場ではどのような思いで観光に関わっているのだろう。
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まちづくりに取り組んでいる人はどんな意識を持っているのだろう。
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地域住民にとって観光とはなんだろう?
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市民も観光客も幸せになれる観光ってなんだろう?
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歴史的な街並みを守るって何だろう?
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歴史を活かした観光はどうあるべきだろう?
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観光は歴史的街並みの保全に役立つのだろうか?
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有名な観光資源を持たない地域の観光はどうあるべきだろうか?
地域プロジェクトについて
このゼミは幸運にも、地方自治体や企業からのお誘いを受けて、観光のあり方を現場で考えることができる機会に恵まれています。新型コロナの影響その他、変更の可能性はありますが、今のところ、ゼミとしてのフィールドは、千葉県野田市と埼玉県川越市です。いずれも新型コロナ後の観光のあり方を考えるもので、実際にフィールド調査や観光客、地域住民向けの調査を行いたいと考えています。
川越市は、歴史的街並みを中心に、周辺の地域資源をどのように活かすのかを考えるものです。野田市は、自転車と川沿いのサイクリングロードを活かした観光のあり方を考えるものです。
※繰り返しになりますが、フィールドは変更の可能性もあります。
普段のゼミについて
このゼミは、週に200分以上、ゼミの時間を取るようにしています。それは、100分のゼミ時間では十分に議論できないと考えているからです。また、それだけでなく、ゼミの時間以外にやるべき課題や学生による自主的な議論の時間を確保することが求められます。それなのに、取得できる単位は半期に2単位のみです。したがって、ゼミを単位取得目的で履修しようとすると、相当コストパフォーマンスは悪いことになります。単位の取得を目的とするのであれば、私のゼミはお勧めしません。それよりも、このゼミでだからこそ得られる経験や仲間に価値を置くことができるようでしたら、ウェルカムです。また、私から少しでも何か学び取ってやろうという、積極的な姿勢を望みます。
週末や長期休みは、街歩きや地域で活躍している人へのヒアリング訪問などを予定しています。フィールドを実際に見て、地域の見方を学んでもらいたいと思います。
ゼミ自体の運営も学生が中心でやっていくことになります。自分たちで学びの場を作っていこうというやる気を期待します。
このゼミはこんな人におすすめ
以上から見て分かるように、おそらく他のゼミよりもハードなゼミだと思います。少なくともゼミにかける時間は多くなることでしょう。ゼミを大学生活の中心に据える覚悟がある人は是非応募してください。
皆さんと、新型コロナに負けない新たな観光の可能性を見出すことを楽しみにしています。
ゼミ生の声
私が多くを語るより、現在のゼミ生がゼミに対してどう感じているかを聞くほうが役に立つかもしれません。
以下のページを参考にしてみてください。
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ゼミ生の思考 (順番にゼミ生が考えていることを記しています)
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ゼミの2年生Tさんの特別インタビュー(観光学部生によるnote)
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ゼミのインスタグラムはこちら
質問があれば、インスタグラムからDMをどうぞ。ゼミ生がお返事します。
ゼミ説明会について