2020年10月14日

夏の思い出「まちをおもうこと」

最終更新: 2021年2月16日

 初めての投稿、とても緊張しているので、とても固い文章になってしまいました。次からは「つぶやき」らしさを目指したいと思います。

 大学二年の夏、私がもっとも力を注いだのは「観光まちづくりコンテスト」でした。

コロナウイルス流行により、観光は大打撃をうけました。まちづくりにおいて、これまでのように交流人口の増加を目指したり、観光をまちの活力に繋げたりすることは非現実的になったのかもしれません。しかし、観光を学ぶ学生として、いまこそ観光を、そして観光まちづくりを再考するべきではないか、今こそ変化のチャンスなのではないか、それが私が春学期のゼミ活動を通して至った結論でした。

春学期どちらかというと観光者視点を磨いてきた自分にとって、地域を考えることは想像以上に難しく、何度も立ち止まりました。まちづくりは商品開発と似ているようで全く違います。消費者のニーズを最大限反映させることを第一におくことが憚られます。観光まちづくりは「観光者」と「地域側」によって成り立っているからです。アイディア段階で「ワクワクすること」を挙げていってもすぐに「ではそれを地域の人はどうも思うのだろう」という議論に移ります。なかなか議論が進まず、苦労しました。対象地は埼玉県新座市。グループはこれまでと全く違った視点で「観光客」自体の捉え方を見直すことにしました。新しい観光のかたちが模索される中で、観光の中身が再考されるのなら、観光客自体も見直していいのではということです。注目したのは大学生。新座市に通学する大学生ながら新座市について知らない、そしてそのまま4年間を過ごしてしまいそうなことに対する複雑な思い、危惧が大学生に着目することに繋がったのかもしれません。大学生を観光客と見立てることは多くの可能性を秘めていました。教育という失われない存在との結びつきは観光の平和産業といわれる「脆弱性」を補い、さらには持続的な来訪というプラスの側面を持っています。調査から大学生の課題を見つけ、地域の魅力や課題と合わせて考え、プランをつくりあげていきました。全く新しい考え方のように見えるけれど参考にしたのはすべてこれまでの学びです。地域資源は観光ガイドで紹介しているものに限らず、広い視野で、どんなにちいさなことでも「まちらしさ」のパーツを集めていきます。大学生を観光客と見立てているため、観光客の行動から考え観光客視点で行動パターン、再訪の仕組みを検討します。様々な観光の取り組みから周遊観光のヒントを探るなどしました。生まれてくるアイディアを支えているものはこれまでの講義で学んだことやゲストスピーカーの方から学んだことであり、すべての学びがつながっているのだと何度もはっとしました。

 近年「持続可能」という言葉を様々なところで見聞きします。「持続可能な観光」といわれてもあまりピンときませんでした。「旅の恥は搔き捨て」といわれるように旅行は持続可能とは真逆の存在のようです。それを改善するべく、観光地は努力を続けてきました。しかし、どちらといと主権は観光客にあったように思います。観光客が来てくれないと観光地は成り立たないからです。そのような状況から、プラスに捉えるとコロナウイルスはこれまでの旅行のかたちを変えるかもしれません。このような事態にならなければ、私たちが観光、ましては観光客を再定義しようと考えることはなかっただろうし、向き合った課題は「オーバーツーリズム」や「東京オリンピックの宿不足」などまったく違ったものだったのだろうと思います。インバウンドの急激な増加や東京オリンピック開催など「観光」が日本の未来をより明るくする存在としてスポットライトをあてられた状況から一変、不要不急とされ、受け入れ側の対応も様々と厳しい状況に追い込まれるなど、予想していませんでした。しかし、この状況はこれまで目を瞑っていた観光のもつ弱さと向き合うきっかけになり、なにより観光の持つ力を再認識させ、さらに「観光」が変わるチャンスではないかと思います。

「まちをおもう」それを観光客に求めることは容易ではありません。地域の歴史、文化、住民、、。まちをつくりあげているものはこれまでの歴史の中で培われたもの、そこに生きた人々による暮らしのバトンです。けれど、観光でそれを意識するのは難しいでしょう。地域に暮らしていいたとしても過去からの付託を意識するのは難しいからです。では地域へ愛着を持っていないのかというと、それは違ってそこで暮らす人々は無意識的に愛着を心に宿しているように思います。どんな些細なことでもいい、あなたがおもう「まちらしさ」で地域を見つめ、まちをおもう観光が築かれていく未来を描きたいです。大学生を観光客にみたてること、大学生が観光客視点を持ちながらも地域側に成長していくこと、それが循環していくこと。持続可能な観光の第一歩になると考えます。

自分たちが迷路に入ってしまうと常に本質を見つめ直すきっかけを与え、たくさんのヒントをくださった西川先生、本当にありがとうございました。そしてどんな状況でも諦めず、私に大切なことを見つめ直すきっかけをくれたリーダー、個性豊かなメンバーに心から感謝しています。これからもこの経験を糧に頑張っていきたいです。

S.W

#観光まちづくりコンテスト